鈴太郎の恋(日本で同性婚が許可になった日)レビュー

「日本で同性婚が許可になった日」シリーズ第2弾「鈴太郎の恋」

まず前書きを読んで驚かされたのは、世界的に同性婚の合法化が進んでいるということです。G7で同性婚が許可されていないのは日本だけであり、欧州主要国の大半は同性婚が可能になっているとのこと。先進国の中で日本だけがセクシュアルマイノリティーの人権保護が進んでいない国だと言われて、中国のウィグル族問題と同様に非難されるという状況も起こり得るのではないか?そんな思いで小説を読み始めました。

美少年系の主人公で中学時代はモテモテ、高校に上がると途端に持てなくなり、自分を男ドブスと言って落ち込んでいますが、高校一年のバレンタインデーに運命の女性から告白され、主人公の人生は地獄から天国へ。しかし、卒業式の日以来連絡が取れなくなります。

試読部分はここまでです。さらに、性転のへきれきHPでの紹介を読むと、主人公は大学卒業後、東京のメーカーに就職してからその女性と再会し、勇気を出してプロポーズしますが、あっさりとフラれてしまい、どん底に陥ります。会社では最悪のミスを繰り返し、ついに上司からお酒の席で最後通告を受ける・・・と思ったら、最後通告ではなく同性婚のプロポーズで、その上司とは長身イケメン30歳のモテモテ男だった、というストーリーです。

長身イケメン30歳と美少年系22歳の同性婚なら普通のBL小説で、それでも十分めでたしめでたしの小説になりますが、そうはならない、という程度のネタバレなら許されるでしょう。

結局は更に2人の男性が同性婚候補として登場するのですが、合計3人の男性との関係が時系列に細かく表現されており、ホモっけゼロの私でもドキドキものでした。運命の女性との肉体関係も出てきますが、普通は男としては経験できない女性どうし的な世界観が描かれているのは、この作者ならではという感じがしました。

最終的に誰と結びつくのか、最終章を読むまで分かりません。主人公は何度も打ちのめされ、苦悩と歓喜を交互に味わう展開なので、感情転移して読むと頭が変になり、性別の常識が壊れそうになります。

もし本当に同性婚が合法化されたら、こんなことも起こるかもしれないと思うと、他人事とは言い切れません。美少年系の人はモテモテになって得かというと決してそうではなく、この小説の主人公のようなハラハラドキドキ人生になるかもしれません。

TS小説ファンでMの気がある人にとっては、980円で丸一日どっぷりと余韻を味わえる★★★★★の長編小説だと思います。

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